サバの味噌煮缶詰ご飯とコーヒー。たいへんに日本的な光景である。
魚の缶詰だが、これなども普通に煮て作ったサバの味噌煮と比べると、これはこれでいいのだが、別物だと言う感じがぬぐえない。長い缶詰の歴史で、リアルな缶詰を目指すというテーマが出たことはなかったのだろうか。
それで、なぜ、別物な味になるかというと、やはり、煮過ぎなのだと思う。とはいえ、それならば、あまり煮ないで缶詰にすればいいか、というと、たとえばこのサバの味噌煮缶詰を食ってて、小骨がいちいち喉に突き刺さり猫のようにえずいたり、細かな背びれのあたりの小骨が口の中に入ったら、たいへん不快である。
それならば、やはり、じっくり煮込んだ方がいいのではないか。すると、また、現物とは別世界な味となり……と永久に矛盾をかかえてループする。そういうジレンマをかかえてハゴロモ缶詰などのメーカーの社員は生きてるのではないか。いや、そんなむずかしいこと考えてないか。
などということを、食いながら思っていた。
